元フジテレビアナウンサーの八木亜希子さんが、線維筋痛症と診断されたと発表しました。
そのため、仕事は全面休養し、毎年恒例のテレビ番組『明石家サンタ』も出演を見送るとのこと。
代役は中野美奈子アナが務めるそうです。
線維筋痛症、聞きなれない病名ですが、いったいどんな病気なのでしょうか?
線維筋痛症の症状は?
2019年12月24日、突如発表された八木亜希子さんの線維筋痛症。
線維筋痛症とは、全身に原因不明の激しい痛みが生じる病気です。
病気による痛みの表現は人それぞれですが、
「ブルドーザーに轢かれるような痛み」
「体の中で火薬が爆発するような痛み」
「万力で締め付けられるような痛み」
「キリで刺されたような痛み」
「ガラスの破片が(体の中を)流れるような痛み」
などと形容され、想像を絶する痛みを伴うことがうかがえます。
痛みがあることにより、9割以上の患者が睡眠障害を伴っているようです。
睡眠障害の起こり方として、同じ体位で寝ていると自分の体重で痛みが生じ、中途覚醒するというパターンが特徴的です。
睡眠障害がストレスとなり、そのストレスが痛みを引き起こし、更に睡眠障害を引き起こす・・・
という悪循環に陥ります。
そのため、メンタルケアも重要とされています。実際に、うつ状態の症例も多いようです。
痛みのレベルや痛みの種類は天候や気温や湿度、環境や、五感による刺激のほか、
肉体的・精神的ストレスによっても変化します。
また、痛みの箇所は移動するそうですが、痛みが途切れる事は無いとのこと。
症状には個人差があり、軽度なら仕事を続けられる場合もありますが、
重度の場合は末期がん患者と同レベルの痛みが常にあるといわれ、
痛みにより日常生活に支障をきたし、自力での生活はほぼ困難となります。
症状が重い場合、髪や肌に触っただけで痛みが走り、意識がもうろうとなり、
寝たきり状態の生活を余儀なくされていまいます。
通常の日常生活はおろか、呼吸や嚥下すら困難になるのです。
そのほかにも、アレルギー症状の悪化、灼熱感や冷感、悪寒などが表れたり、
筋力や運動能力の著しい低下、筋肉の激しい疲労、筋肉の痙攣、行動力の低下、関節の痛みと腫れが出たり、
重度の場合には自力で補助なしには立ち上がれない、以前歩けた距離が歩けなくなるなどの症状も見られます。
これ以上どんな症状があるのか、というくらい様々な症状が出ますね。
なかなかこんな病気は聞いたことがありません。
治療法はあるの?
線維筋痛症、原因はいったい何なのでしょうか?
実は、まだ線維筋痛症がどうして起こるかは、解明されていないそうです。
医療機関で実施する血液・尿検査、レントゲン撮影、CT、MRI、エコー検査などの画像検査、脳波などの検査をおこなっても、
特徴的な結果は得られないそうです。
このような状態ですので、残念ながら、線維筋痛症の原因療法や根治療法は現状ではないということになります。
現状での治療としては、線維筋痛症の診断を受け入れ、病気に対する正しい理解を持つことが重要です。
そして線維筋痛症の中心症状である激しい痛みを和らげ、
日常生活に影響のない程度までコントロールすることです。
痛みが軽減することにより、日常生活を送ることも可能になり、睡眠障害やうつ状態からも回復し、
線維筋痛症が終息することが期待できます。
治療には、薬物療法と非薬物療法がありますが、薬物療法をおこなっても、痛みが完全に消失することは困難で、
あくまでも痛みを一定レベルに和らげる効果となるという認識を持っておくことが重要になるそうです。
このように、まだまだ不明な点が多い線維筋痛症ですが、少しずつ原因の解明が進んでおり、
痛みは痛みを脳に伝える神経や痛みのシステムに問題があり、さらにその問題が起きるのは、
脳内で痛みの神経に炎症(脳内神経炎症)が発生しているためであることが解ってきました。
線維筋痛症は難病指定されていない?
原因不明で治療法がなく、日常生活に多大な影響が出る病気である線維筋痛症。
当然難病として指定されているのかと思いきや、実は、現時点では国の定める指定難病にはされていないのだそうです。
その理由として、患者数が挙げられます。
指定難病になるには、患者数が一定の基準(国の人口の0.15%程度)より少なければならないとされていますが、
線維筋痛症の推定患者数は200万人であり、国の人口の1.6%程度と想定されるため、基準を満たしていないのです。
一般的には聞きなれない傷病ですが、200万人、1.6%と聞くと、珍しい病気ではないということがわかります。
特に中高年の女性が発症する割合が高いそうで、八木亜希子さんもまさに、
線維筋痛症としては発症しやすい特徴を備えていたことになります。
では、線維筋痛症が難病に指定されていないことにより、どのような問題が起きるのでしょうか?
重大な問題は治療費です。
指定難病になると、その疾病にかかる治療費に対し、国から助成が出るため、
治療費の負担が少し軽減されます。
しかし、指定難病になっていない線維筋痛症は、治療費の助成がなく、通常の医療保険制度での
取り扱いとなります。
現状で根治治療がないため、治療を継続する必要があり、毎月数万円単位の治療費がかかることも珍しくないでしょう。
フルタイムで働いていたとしても、月数万円の出費は厳しいのに、
線維筋痛症で働くのが難しい状態でその出費が必要になるとなると、金銭的な負担はものすごく大きくなってしまいます。
また、線維筋痛症は主な症状が痛みで、客観的な検査で数字を出すのが難しいこともあり、
身体障がい者手帳を取得することが困難なことが多いです。
身体障がい者手帳を持っていることにより使える福祉制度も使えないので、
例えば体が動かせないので介護のヘルパーを呼んだり、家事援助ヘルパーを呼んだりということもできません。
辛い症状があるにも関わらず、公的な支援が整備されていないとなると、
ますます精神的に滅入ってしまうかもしれないですよね。
八木亜希子さんのような著名人が発症したことを発表したことにより、
線維筋痛症の認知度が高まり、研究が進んだり、公的制度も見直される方向に進むことを願っています。
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