厚生労働省は10月21日、
職場でのパワーハラスメント(パワハラ)を防止するために企業に求める指針の素案を、
労働政策審議会に示しました。
この素案に対し、審議会の委員からは疑問や指摘が相次いだうえ、
日本労働弁護団からは、「パワハラの定義を矮小化している」との
抜本的修正を求める声明が出されたそうです。
まだまだ議論を呼びそうな状況ですね。
今回はパワハラについてまとめてみました。
職場でのパワハラを防止するために企業に求める指針の素案とは?
そもそもこの指針を策定しようとしている理由は、
2020年4月から大企業に適用されるパワハラ関連法をふまえ、
職場での判断基準を示すためです。
パワハラ関連法では、職場におけるパワハラを以下の3点のすべての要素を満たすものと定義し、職場での対策を求めます。
(1)優越的な関係を背景とした言動で
(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
(3)労働者の就業環境が害されるもの
指針の素案では、この(1)~(3)すべてを満たす場合パワハラに該当するとしたうえで、
それぞれの要素について具体的に示しています。
また、厚労省がすでに公表済みのパワハラに関する6つの行為類型について、
具体的にどういった行動が該当するのか、しないのかの事例も示しています。
厚労省が公表済みのパワハラに関する6つの行為類型
指針の素案で示したパワハラに該当しないとした事例
こうした内容に対し、審議会の委員からは、パワハラ認定するための定義が狭いのではないか、などの指摘や疑問が相次ぎ、
日本労働弁護団からは、
「パワハラの範囲を矮小化し、労働者の救済を阻害する」とまで言われているようです。
指針の素案に対する世間の反応は?
職場でのパワハラを防止するために企業に求める指針の素案に対し、
世間の反応はどんなものがあるでしょうか?
何をしたらパワハラ?厚労省、防止策義務化に向け指針案(朝日新聞デジタル) – Yahoo!ニュース
こんな指針なくてもパワハラはだいたいわかる。セクハラは個人差がありすぎて難しいけど。 https://t.co/7vYlivE8Ea
— 臼井正己(転職王2.0、作家)@音速で喋る男 (@usuimasami) 2019年10月22日
指針なんてなくてもわかる、というものや・・・
こんなの示さなきゃならないなんて情けないよね
どうせ「やったやらない」の水掛け論になるんだろうけど#厚労省#パワハラ#該当しない例— ZUZU (@u8LXEVkuWiQ1D9D) 2019年10月22日
こんなものを示さないといけないとは情けないというもの、
〜パワハラを武器にする上司〜
上司「じゃあ、あとこれ、残業頼むよ」
部下「いや、これ以上残業増やすならパワハラで訴えますよ」
上司「え、何、今恐喝した?これってパワハラだよ?」
部下「……
— 学問のすべて (@Kuramaru2) 2019年10月22日
パワハラに対し仕返ししようとしたら、逆パワハラで訴えられるというおもしろい例をあげているもの。
さまざまな反応ですが、指針案に賛成するような意見はなかなか見つけられませんでした。
残念なことではありますが、パワハラは多くの人にとって身近なできごととなっています。
厚労省には委員や世間の意見を聞いて、慎重に指針の策定を進めていってほしいですね。
パワハラと感じたら、まずは相談!
パワハラもセクハラと同じように、たとえ同じ言動でも、相互の関係性や、受け手の感じ方などにより、
ハラスメントと感じるかどうかが分かれてしまうことはあるのかもしれません。
厚労省の指針が今後、どのように修正され、策定されるかは不明ですが、
もし今パワハラに苦しんでいる人がいる場合は、指針に該当するかどうかに関わらず、
勤め先の相談窓口や、お住まいの区域の厚労省の総合労働相談コーナーなどを利用し、
相談してみてくださいね。
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